「腰が痛いのは、仕事で負担をかけているから」「姿勢が悪いから腰痛になる」

そんなふうに考えていませんか？

実は、タンザニアの狩猟採取民族・ハッザ族には慢性的な腰痛が存在しません。
彼らは一日中歩き回り、重い獲物を持ち、中腰姿勢をとることも多い生活を送っています。それにも関わらず、腰痛で悩む人はいないのです。

これはどういうことでしょうか？

最新の研究でも「負担をかけるほど腰痛が増える」という常識は覆されつつあります。本記事では、ハッザ族の生活や科学的な根拠をもとに、腰痛の本当の原因について掘り下げていきます。

• 慢性的な腰痛に悩んでいる人

• 仕事や日常生活で腰に負担をかけていると感じる人

• 腰痛の原因や予防法について正しい情報を知りたい人

ハッザ族の生活に学ぶ「腰痛ゼロの秘密」

ハッザ族とは？

ハッザ族はアフリカ・タンザニアに住む狩猟採取民族です。
現代のようなデスクワークや機械に頼る生活とは無縁で、一日中動き回りながら生活しています。

• 1日数十キロ歩く

• 獲物を運ぶために重いものを持ち上げる

• 獲物を仕留める際に中腰姿勢をとる
  
  

これだけの負担を毎日かけているにも関わらず、彼らには慢性的な腰痛が存在しません。
日本では少し無理をしただけで腰を痛める人が多いのに、これは驚きではないでしょうか。

なぜ腰痛がないのか？

NHKの取材で、ハッザ族に「急に腰が痛くなることはあるか？」と尋ねたところ、彼らは「腰痛が長引くのは病気なのでは？」と驚いたそうです。

実は、ハッザ族には「慢性痛」という概念が存在しません。つまり、腰痛を「怖いもの」として捉えていないのです。

また、彼らは以下のような特徴を持っています。

• 腰を守るために特別なストレッチや治療をしていない

• コルセットや湿布を使わない

• 腰痛に関する情報を持っていない
  
  

つまり、「腰痛＝悪いもの」と考える機会がないため、不安を感じることなく生活しているのです。

「負担が大きいほど腰痛が増える」は本当か？

腰に負担をかけると腰痛になる……これは多くの人が信じている常識です。
しかし、科学的な研究では、まったく違う結果が出ています。

研究結果①：農業従事者と腰痛の関係

• 農業従事者 1,221名と非従事者 1,130名を比較した研究では、「農業従事者の方が腰痛が少ない」という結果が出ました。
  （Holmberg S. et al, Agric Environ Med, 2003）

農業は重労働ですが、農業をしている人の方が腰痛が少ないのです。

研究結果②：双子の比較研究

• 一卵性双生児を対象とした研究では、「椎間板の変性（老化）に物理的な負荷の影響はほとんどない」と結論づけられました。
  （Battle MC, et al, Spine J 2009）

つまり、「負担をかけると腰痛が起こる」という考え方自体を見直す必要があるのです。

腰痛の原因は「脳」と「情報」にある

ハッザ族の例や研究結果から、「腰に負担をかけることが直接の原因ではない」ことがわかりました。

では、何が腰痛を引き起こすのでしょうか？

脳が腰痛を作り出す？

腰痛は、実際の身体的なダメージだけでなく、「脳が痛みを感じるかどうか」によって決まります。

例えば、

• 「腰を使いすぎたら痛くなる」と思う → 本当に痛みを感じる

• 「腰が痛くなったら動かしてはいけない」と思う → さらに悪化する

こうした思い込みが、腰痛を慢性化させてしまうのです。

情報が健康を決める

ハッザ族は「腰痛に関する情報を持っていない」ため、腰痛を恐れることがありません。
逆に、現代社会では「腰痛＝悪いもの」「動かすと悪化する」といった情報があふれており、それが実際の痛みを引き起こす原因になっています。