腰痛診療ガイドライン
こんにちは。東大阪市で開院しているひがし整骨院・ここから整骨院です。腰痛に強い整骨院です。
【ガイドラインが大事なんだって】
「ガイドラインって何?」
世界中で発表されている精度の高い論文や、臨床現場の声を反映して作られる、医療者が、日々患者さんを治療するに当たっての参考書(手引書)のようなものです。
「なぜ必要なの?」
現場で働く先生は、日々忙しいので最新の医療情報を学ぶ機会が中々ありません。学生時代や昔に学んだレベルで治療をしていては、患者さんが迷惑です。そこで、最新の医療情報が反映されている、ガイドラインを頭に入れて日々臨床に当たる事が望まれています。
ちなみに、腰痛を始めとした、様々な症状のガイドラインが存在しています。
「腰痛診療ガイドラインって、日本にもあるの?」
あります。2012年にようやく出来ました。ちなみに、世界で初めてできたガイドラインは「腰痛」です。1994年にアメリカで作成されました。
日本遅れすぎだろ。。。ですよね(-_-;)
しかも、最近だから素晴らしい内容なのかといいますと、、、「勧告」がない、「要約の表現が悪い」など、日本のガイドラインは、ちょっとバイアス(先入観)がかかっているとも言われています。
「アメリカ以外での腰痛のガイドラインは?」
特に注目すべきは、2004年のニュージーランドと、ヨーロッパのガイドラインと言われています。
この2つは、世界で初めて「心の状態と腰痛(イエローフラッグ)」「慢性腰痛&予防法」に言及しました。
しかも、医療費が無料の国のガイドラインですから、日本やアメリカと違って、バイアスが入りにくいと言われています。
「凄く効果ありそうですね。それなら、全ての医療者が、ガイドラインを中心に患者さんを診ているのですね」
残念ながらそうとは言えないようです。
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大部分の家庭医は医学図書館で過ごす時間がほとんどなく、質の高い根拠に基づく研究に触れる機会がない。質の高い研究には多大な努力が注がれているものの、多くの医療従事者は自分の仕事に関する科学的根拠をけっして知ることはない。http://1.usa.gov/RBGneb
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知る機会もなければ、知っても制度的に実行しにくい事もあるようです。
「実行しにくい?たとえば?」
ガイドラインでは、初診時に1時間かけて患者さんと対話し、勇気づけ、自らの力で治るせる事を勧めるようにとなっています。
さらには、画像検査を行わないようにも勧告しています。
「日本では出来そうにないですね・・・」
そうなんです。病院のお医者さんは、患者さんが多すぎて1時間も話なんてできません。ボランティアでやっている訳ではないので、報酬がでるような仕組みを作らないとダメですね。
ちなみに、腰痛患者に対する画像検査ですが、ガイドラインを守れば、実施率は7%で済むことが分かっています。日本は、ほぼ100%撮りますよね。。。(-_-;)
何の為に、2012年に日本版ガイドラインを作ったのだろうか。。。
「他に、ガイドラインを守った方がメリットがある具体例は?」
添付の画像をみて下さい。腰痛の再発率が、ガイドラインを守ったグループの方が、6カ月後・1年後に倍の開きがあるんです。これは、すごい差です。
「おぉーこれは凄い!患者としては、是非、すべての治療者に守ってもらいたいです。内容は?」
簡単に言えば、繰り返しになりますが「自分でも何とか出来る!大丈夫!」と勇気づける事なんです。患者教育ですね。だから、1時間かけて対話しなさい。となってるんです。
そして、特に重要なのが、「根拠の基づく情報」を伝えるということです。従来は、不安や恐怖心を与える説明が横行していました。そうではなく、安心と勇気を与え、積極的に動かしましょうと伝える事を進めています。
その他にも、「手術は2年間はやらないこと」などなど、様々な勧告があります。
「なるほど。腰痛の再発率を下げるには、根拠の乏しい情報を与えてはダメってことですね。」
ガイドラインの勧告を守れば、再発率だけでなく、医療費の減少や患者満足度向上や治癒率を高める事も判明しています。
「良い事ばかりじゃないですか!」
そうなんです。だから、世界各国で用いられているんです。
ただ、先ほども言いましたように、医療制度の問題や、これまで、信じてきた治療や理論を手放すのには、勇気がいるのも事実。それが浸透を遅らせているのだと思います。
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統計学を勉強したり、臨床試験を自ら実施できる医師はほんのひと握りしかいない。しかも多くの医師は、ある治療に効果がないことが臨床試験で示されても、自分の患者は違うとなぜか信じて疑わず(これを確証バイアスという)、効果が証明されていない治療を続けている。
ニューズウィーク日本版2010年4月14日号
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「たとえば?整骨院ではどんな事がありますか?」
椎間板や背骨に腰痛の原因があるとの説明はしてはダメ。安静にする事を指導してはダメ。牽引療法はやってはダメ。低周波治療器は効果が無い。などの、根拠が否定されている情報を与えてはいけない。と、ガイドラインでは述べています。ですが、これまで、ずっとその説明や治療でやってきた先生は、ガイドラインが証明していても、どうしても軌道修正できないんですね。
再発率が2分の1になると分かっていても。
「う〜ん。。。難しい問題ですねぇ」
そうなんです。諸外国でも、なかなか進まない中、日本のような出来高払い制の医療制度では、尚更難しいことかも知れません。
ただ、完全に従うのはもちろん無理ですが、拾えるところは拾っていけば、今よりは良い結果が生まれる事でしょう。
たとえば、勇気づけの言葉を増やすとか、椎間板や背骨は頑丈だから少々何があっても大丈夫!とかの説明はすぐできますよね。
「これからは、患者側もある程度の勉強が必要ですね」
そうかも知れませんね。でも、、、個人的には、患者さんは、深く考えない方がいいのではと思っています。良い意味で、健康に対してバカになれといいますか。
楽観的で、「先生痛いんやわ〜。まあその内治るやろうけど!ハハハ!!」というタイプの患者さんは、ほんとにその内治ってますからね(笑)
逆に、調べすぎて、自分で分析とか病気に興味を示し過ぎている人ほど、痛みを手放せなくなっている気もします。
「では、私も病気に対してはバカになります(笑)」
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